『MindsEye』開発元Build A Rocket Boyが管財人を選任──前期は4750万ポンドの営業赤字、債権者への負債は6180万ポンド
『MindsEye』を手がけたイギリスのスタジオBuild A Rocket Boyが、管財人(administrator)を選任しました。英国の法人登記所Companies Houseへの届け出で明らかになったもので、同社はGamesIndustry.bizに対し、Opus Advisory Groupが管財人を務めることを認めています。届け出そのものは現時点では公開されていません。
英国法における管財人の選任は、その企業が支払い不能(insolvent)の状態にあり、債権者からの法的請求に対して保護を必要としていることを意味します。直ちに清算されると決まったわけではありませんが、通常の経営状態ではないことを示す手続きです。今回の選任は、9月に実施された直近の人員削減の後に行われました。
公開されている最新の決算は2025年9月30日締めの12か月です。この期の営業損失は4750万ポンド、最終損失は3620万ポンドでした。同じ時点で、債権者に対する負債の合計は6180万ポンドに達しています。
Build A Rocket Boyには、NetEase Games、RedBird Capital Partners、Galaxy Interactiveといった企業が出資してきました。これら3社から派遣されていた取締役は、2026年の夏に取締役会から外れています。
同社は2016年、ロックスターの元開発者Leslie Benzies氏が設立しました。デビュー作『MindsEye』は2025年6月4日に発売されましたが、批評・ユーザーの評価ともに振るわず、その月のうちに約300人の従業員が人員削減の対象になり得ると通知されています。同年10月には、IWGB Game Workers労働組合が、削減手続きの扱いに問題があったとして法的措置を発表しました。
2026年に入ってからも混乱が続きました。年明けには、従業員が業務用端末にTeramindという監視ソフトが無断で導入されていたことに気づきます。共同CEOのBenzies氏は、これを同社と『MindsEye』に対する妨害工作への対策の一環と説明していました。もう一方の共同CEOであるMark Gerhard氏は、証拠を示さないまま「非常に大きなアメリカ企業」が2025年に100万ユーロ超を投じて同社への「犯罪行為」を行ったと主張しています。IWGBは、この監視ソフトの使用をめぐってデータプライバシー侵害でも法的措置を取りました。3月にも同社は「組織的なスパイ行為と企業妨害」があったと繰り返しつつ、さらなる人員削減を実施しています。
4月には『MindsEye』の大型アップデート「Blacklisted」を配信し、Gerhard氏は「『MindsEye』とスタジオにとって大きな前進」と述べていました。しかし発売後にGamesIndustry.bizの取材に応じた従業員たちは、立ち上げの失敗から立ち直れるとは考えていませんでした。ある元従業員は「BARBがこの危機を乗り越えられるとは思わない。終わりは来るだろうが、それを告げるのは妨害者ではなく、MarkとLeslieの2人だ」と話しています。
個人開発者の視点で見ておきたいのは、赤字の規模そのものよりも、1本の大型タイトルに社運を賭けた場合の落差です。デビュー作の評価が振るわなかった時点から管財人の選任まで、およそ1年3か月しかかかっていません。外部資本を入れて規模を先に作るやり方は、当たれば速い一方で、外れたときに縮小する余地をほとんど残しません。
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