Steamの「割引&イベント」欄がパーソナライズ化か──埋もれたインディーの流入が1か月で7341件、その前の5か月は14件
Valveが運営するSteamで、これまで人目に触れにくかった小規模作品へのストア流入が急増している、という報告が業界内で共有されています。きっかけは、マーケティング調査機関GameDiscoverCoの創業者Simon Carless氏が9月9日付のニュースレターで示した観測です。同氏は、一部の小規模タイトルでSteamトップページからの流入が以前より増えていることを確認し、その理由としてトップページ内「割引&イベント」セクションの変更を挙げました。
「割引&イベント」は、セール中の作品や各タイトルのイベント情報が並ぶ枠です。Carless氏によれば、この枠がログイン中のユーザーの好みをより強く反映する形に変わったとみられます。従来は売上規模の大きいタイトルに表示が偏っていた場所でした。
この見立てを受けて実際に調べたのが、インディーゲームパブリッシャーHooded HorseのCEO、Tim Bender氏です。同氏は、現在ではユーザーレビューが100件未満、あるいは数千件程度のインディーゲームもこの枠に並ぶようになったと報告しました。自身がページを読み込んだときには、1980年代後期から1990年代前期を思わせる「Gold Box」シリーズの『ダンジョンズ&ドラゴンズ』作品が表示されたそうです。4年前にリリースされ、レビュー数は300件未満、しかし同氏の好みにはまさに合致する1本でした。
数字はさらに直接的です。Bender氏が公開したあるインディーゲームのトラフィックデータでは、直近1か月間に「割引&イベント」経由の流入が7341件ありました。それ以前の5か月間は、合計でわずか14件です。同氏は、小規模作品を扱う知人からも、ほぼゼロの状態から数千件へ増えたという同様の事例を聞いていると述べています。
ただし注意点があります。Valveはこの変化について説明しておらず、実際に仕様変更が行われたという確証はありません。観測された流入の増加が、恒久的な仕様変更によるものなのか、一時的な調整やテストによるものなのかも現時点では判断できません。
とはいえ、Steamがパーソナライズ機能を継続的に強化しているのは事実です。2026年6月には、ユーザーの好みに合いそうな発売予定作品をまとめて表示する「パーソナルカレンダー」が正式に実装され、このときも多くのウィッシュリスト登録を獲得したという販売元の声が寄せられていました。
個人開発者にとっての意味は、ストアの露出を勝ち取る条件が「規模」から「合致」へ少しずつ寄っている可能性がある、という点にあります。仮にこの変化が定着するなら、レビュー数の少ない作品でも、好みの合うユーザーの前に置かれる道が生まれます。そこで効いてくるのは、自分の作品が誰の好みに刺さるのかをストアページ側で正しく名乗れているかどうか──タグ、ジャンル、比較対象になる作品との近さといった、プラットフォームが読み取る情報の整え方です。加えて、この枠がセールやイベントを起点にしている点も見落とせません。流入の器が用意されていても、セールやSteamのイベントに参加していなければ、そこに並ぶ機会自体が生まれないことになります。
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