オーディオストックが東証グロース上場、初値は公開価格を46.6%上回る──「音源を売る」から「音源の権利を収益化する」会社へ
音源ライツビジネスプラットフォーム「Audiostock」を運営するオーディオストックが、2026年9月16日に東京証券取引所グロース市場へ新規上場しました。初値は公開価格を46.6%上回る1554円をつけています。同社はクリエイターが制作したBGM、効果音、ボイス・ナレーションなどの音源を預かり、ライセンス販売するサービスとして知られてきました。
同社が目指しているのは、単なる音源素材サイトにとどまりません。クリエイターから音源を預かって販売するだけでなく、その著作権や著作隣接権を管理し、テレビ・ラジオなどで利用された際の著作権使用料までを収益化する「音源ライツビジネスプラットフォーム」への拡張です。9月末時点で取扱音源は100万点を超え、BGM47万点、効果音49万点、著作権管理楽曲3.4万点という構成になっています。登録ユーザーは20.3万人、クリエイターは4万人です。
収益構造は二本立てです。ひとつはAudiostockでのライセンス販売による課金収入で、6月末時点で課金収入に占める定額制プランの比率は80%を超えています。2026年9月期第3四半期累計の課金収入は4億8600万円、通期では6億5000万円(前期比8.3%増)を見込みます。もうひとつが著作権等収入です。登録音源を著作権等管理事業者へ管理委託し、放送での利用実績に応じて使用料を受け取る仕組みで、第3四半期累計で8億700万円(前年同期比39.9%増)、通期では10億8400万円(同22.7%増)を見込んでいます。通期の売上高予想17億5300万円のうち、権利側の収入が半分以上を占める形です。
クリエイターへの還元は、著作権等収入について同社受領額の50%が原則とされています。2025年9月期には9000組を超えるクリエイターに報酬が発生したとしています。今後の成長領域として同社が掲げるのが、YouTubeなど動画投稿・動画配信サービスからの「インタラクティブ関連収入」です。従来のテレビ・ラジオ中心の著作権収入をインターネット動画へ広げる方針を示しています。2026年7月には英語対応の海外版をリリースし、「和風、アニメ、ゲーム系」の音源を強みとして世界市場での売上拡大を狙うとしています。
個人開発者にとって、この上場は二つの側面を持ちます。調達側としては、ゲームに組み込むBGMや効果音の供給元が上場企業として資本を得たことで、ライブラリの拡充と海外展開が進む見通しが立ちます。提供側としては、音源を一度売って終わりにせず、放送や動画配信での二次利用から継続的に収益を得る経路が制度として整いつつあることを意味します。素材を作る仕事が「納品して終わり」から「使われ続けるほど積み上がる」形へ移る流れは、ゲーム内のアセットやツールを外販する個人開発者にも読み替えのきく構造です。
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