9月17日(木)の朝刊まとめ
- 1Google Playの手数料訴訟、2億6000万ポンドの和解が英競争控訴審判所で承認──1億6000万ポンドが開発者への補償に
- 2『MindsEye』開発元Build a Rocket Boy、新たな人員削減を経て閉鎖の報道──5年で550人まで拡大した体制
- 3オーディオストックが東証グロース上場、初値は公開価格を46.6%上回る──「音源を売る」から「音源の権利を収益化する」会社へ
- 4インディー開発は商売として成り立つのか──2026年1月のSteam新作1230本のうち、100万ドルを超えたのは16本
- 5きょうのSteam同時接続トップ5(2026年9月17日)
海外Google Playの手数料訴訟、2億6000万ポンドの和解が英競争控訴審判所で承認──1億6000万ポンドが開発者への補償に
英国の競争控訴審判所(Competition Appeal Tribunal)が、Googleと英国のアプリ開発者との間で結ばれた2億6000万ポンド(約3億5000万ドル)の和解を承認しました。Google Playでの販売に課される手数料をめぐり、ストラスクライド大学のバリー・ロジャー教授が英国のアプリ開発者を代表して起こした集団訴訟に対する決着です。
和解金2億6000万ポンドの内訳は、対象となる開発者への補償が1億6000万ポンド(約2億1600万ドル)、訴訟資金の調達費用や保険料、弁護士費用などの関連費用が1億ポンド(約1億3460万ドル)となっています。なお本合意において、Googleは責任も不正行為も認めていません。あくまで支払いに関する合意という形式です。
ロジャー教授は「これは英国の数千のアプリ開発者にとって、そして英国の集団訴訟制度にとって歴史的な結果だ」とコメントしています。そのうえで「この支払いは、Google Playストアを通じてアプリやデジタルコンテンツを販売してきた、個人や新興企業から確立された企業まで、あらゆる規模の開発者に利益をもたらす」と述べました。
Googleは続いて、リズ・コール氏による消費者側の訴訟に臨みます。こちらは2026年10月5日に審理が始まる予定で、英国の約2000万人の消費者がGoogle Playで本来より多く支払わされたと主張するものです。訴えの内容は、GoogleがAndroidアプリの流通と決済で支配的地位にあり、それを用いてデジタル購入に過大な30%の手数料を課し、その負担が消費者に転嫁されたというものです。Googleはこれらの主張を争う姿勢を示しています。対象となるのは2015年10月1日から2026年7月31日までにGoogle Playでアプリ、デジタルコンテンツ、サブスクリプションを購入した消費者と事業者で、オプトアウト方式のため個別の登録は不要です。
個人開発者にとっての意味は、手数料が「支払って終わりの固定費」ではなくなりつつある点にあります。今回の補償対象には個人開発者も明示的に含まれています。プラットフォーム手数料の水準は、各国の競争当局や集団訴訟を通じて事後的に争われる費目へと性質を変えつつあり、その結果が数年後に補償という形で戻ってくる可能性がある。手数料を織り込んだ収支計画を立てる際にも、こうした制度の動きを併せて見ておく価値があります。
出典: PocketGamer.biz
海外『MindsEye』開発元Build a Rocket Boy、新たな人員削減を経て閉鎖の報道──5年で550人まで拡大した体制
『MindsEye』を手掛けたスコットランドのスタジオ、Build a Rocket Boy(BARB)が事業を終息させつつあると報じられました。同スタジオの複数の従業員がソーシャルメディア上で相次いで別れの投稿を行っていることが根拠です。
LinkedInでは、この24時間のあいだに開発者たちが次々と退職を表明しました。採用とHR運用を担当していた人物は、求職中を示す「#OpenForWork」の緑のバナーを同僚とともに掲げると投稿。「BARBでの5年弱、実に濃い道のりでした。社内リクルートチームの最初の一人として入り、短期間でスタジオを200人から550人にしました」と振り返り、HR部門として「最後までBARBを見届け、後片付けを手伝う」と記しています。
リード3Dウェポン/プロップアーティストは「残念ながら、Build a Rocket Boyの他の同僚たちと同様に、私も人員整理に直面しており、新しい機会を探しています」と投稿。UGC担当のテクニカルレベルデザイナーも「BARBの他の人たちと同じく、また緑のバナーを掲げることになりました」と述べました。事情を知る関係者の話として、同スタジオが恒久的に閉鎖されると報じられていますが、スタジオ側は人員削減も閉鎖も公式には認めていません。
BARBは『MindsEye』の開発期間中から、そして2025年6月の発売以降も混乱が続いていました。100人近い開発者が経営の機能不全を訴える申し立てに署名し、法的請求に踏み切った者もいます。複数回の人員削減が行われる一方、スタジオ側は不振の原因を外部要因に求める説明を行っていました。今年に入ってからは『ヒットマン』のIO Interactive傘下であるIOI Partnersが同作のパブリッシングを引き継いでいます。また、業務用端末への監視ソフト導入をめぐるデータプライバシー侵害の申し立てを受け、IWGB Game Workers Unionによる法的措置とエディンバラのオフィス前での抗議も起きていました。
個人開発者が受け止めるべきは、規模が保険にならないという点です。5年で200人から550人へ拡大した体制は、単一の大型タイトルに賭ける構造でもありました。人員が増えれば月々の固定費は積み上がり、発売が一度つまずいたときに回復までもちこたえる期間はかえって短くなります。小さく作り、複数の収益源を持ち、発売後も手を入れ続けられる構造をとることは、消極的な選択ではなく、事業継続の設計そのものです。
出典: Game Developer
国内オーディオストックが東証グロース上場、初値は公開価格を46.6%上回る──「音源を売る」から「音源の権利を収益化する」会社へ
音源ライツビジネスプラットフォーム「Audiostock」を運営するオーディオストックが、2026年9月16日に東京証券取引所グロース市場へ新規上場しました。初値は公開価格を46.6%上回る1554円をつけています。同社はクリエイターが制作したBGM、効果音、ボイス・ナレーションなどの音源を預かり、ライセンス販売するサービスとして知られてきました。
同社が目指しているのは、単なる音源素材サイトにとどまりません。クリエイターから音源を預かって販売するだけでなく、その著作権や著作隣接権を管理し、テレビ・ラジオなどで利用された際の著作権使用料までを収益化する「音源ライツビジネスプラットフォーム」への拡張です。9月末時点で取扱音源は100万点を超え、BGM47万点、効果音49万点、著作権管理楽曲3.4万点という構成になっています。登録ユーザーは20.3万人、クリエイターは4万人です。
収益構造は二本立てです。ひとつはAudiostockでのライセンス販売による課金収入で、6月末時点で課金収入に占める定額制プランの比率は80%を超えています。2026年9月期第3四半期累計の課金収入は4億8600万円、通期では6億5000万円(前期比8.3%増)を見込みます。もうひとつが著作権等収入です。登録音源を著作権等管理事業者へ管理委託し、放送での利用実績に応じて使用料を受け取る仕組みで、第3四半期累計で8億700万円(前年同期比39.9%増)、通期では10億8400万円(同22.7%増)を見込んでいます。通期の売上高予想17億5300万円のうち、権利側の収入が半分以上を占める形です。
クリエイターへの還元は、著作権等収入について同社受領額の50%が原則とされています。2025年9月期には9000組を超えるクリエイターに報酬が発生したとしています。今後の成長領域として同社が掲げるのが、YouTubeなど動画投稿・動画配信サービスからの「インタラクティブ関連収入」です。従来のテレビ・ラジオ中心の著作権収入をインターネット動画へ広げる方針を示しています。2026年7月には英語対応の海外版をリリースし、「和風、アニメ、ゲーム系」の音源を強みとして世界市場での売上拡大を狙うとしています。
個人開発者にとって、この上場は二つの側面を持ちます。調達側としては、ゲームに組み込むBGMや効果音の供給元が上場企業として資本を得たことで、ライブラリの拡充と海外展開が進む見通しが立ちます。提供側としては、音源を一度売って終わりにせず、放送や動画配信での二次利用から継続的に収益を得る経路が制度として整いつつあることを意味します。素材を作る仕事が「納品して終わり」から「使われ続けるほど積み上がる」形へ移る流れは、ゲーム内のアセットやツールを外販する個人開発者にも読み替えのきく構造です。
出典: gamebiz
開発者の目インディー開発は商売として成り立つのか──2026年1月のSteam新作1230本のうち、100万ドルを超えたのは16本
ゲームの発見(ディスカバリー)を専門に分析するGameDiscoverCoのサイモン・カーレス氏が、「今のゲームビジネスは平均的なインディー開発者にとって持続可能か」という問いに、データと実感の二つの側面から回答しました。きっかけは、Mike RoseとRami Ismailのポッドキャストで「インディーをやっている今、これは続ける価値があるのか、と一番よく聞かれる」と問われたことだといいます。
まずデータです。2026年1月にSteamで発売された有料の新作は1230本。このうち生涯売上(LTD)が100万ドルを超えたのは16本、率にして1.3%でした。自己資金50万ドルを投じて自主販売した場合、返金やチャージバック、Valveの30%を差し引いた手取りで55万ドル以上を回収し黒字化するには、この16本に入る必要があるという計算になります。
パブリッシャーから50万ドルの資金を受けた場合はどうか。リクープ条件によりますが、標準的な料率で見て1月発売分のうち完全に回収できたのは約7本、0.6%程度だとカーレス氏は見積もります。予算を10万ドルまで下げても、自主販売で手取りが損益分岐に乗るのは1230本中80本にとどまります。1月は閑散期であり、2026年の月によっては100万ドル超えが20〜30本に達する月もあること、非カジュアル系の一部はコンソール展開で追加収益を得られることを同氏は但し書きとして添えていますが、「それでも基本的な計算は変わらない」としています。
実感の側では、同氏は「10km級の小惑星がゲームビジネスに向かっているわけではないが、昔に戻ることもない」と語ります。背景にあるのは、ゲームを作れる人が非常に多くなったという構造変化です。学校を出たばかりの人、生活コストの低い地域の人が半ば職業的に作るケースが増え、それは人気の面ではむしろ不利に働かないこともある。したがって「すでに当たった作品を自分で保有していて、そこから収益が続いている」状態でなければ、ゲームで長く専業を続けるのは今後さらに難しくなる、という見立てです。
同氏の結論は、ビジネスとして機能するのは(a)カタログ全体の厚みを持つパブリッシャーか、(b)低いコスト基盤から注目作を生み出した少人数チーム、のいずれかだというものです。例として挙げられたのは、シングルプレイでMOD対応のロースペックなBattlefield風タイトル『Ravenfield』で、2017年以降に1500万ドルを売り上げたとGameDiscoverCoは推計しています。給与を必要とする複数人チームであるほど状況は厳しく、それは今後も続く。だからこそ「従来とは違うやり方でゲームを作る道を見つける必要がある」というのが同氏の提言です。数字を見て、勝負を降りる時と走る時を知ることが、まず必要になります。
出典: GameDiscoverCo
きょうのSteamきょうのSteam同時接続トップ5(2026年9月17日)
Steamの同時接続プレイヤー数トップ5は以下のとおりです。1位はCounter-Strike 2で約99万人、2位はDota 2で約68万人、3位はWARDOGSで約33万人、4位はValheimで約22万人、5位はPUBG: BATTLEGROUNDSで約20万人でした。顔ぶれは前日から変わらず、上位2本がそれぞれ前日比で数万人ずつ増えています。
3位のWARDOGSは、開発元のBULKHEADとパブリッシャーのTeam17が、9月10日の早期アクセス開始から5日未満で200万本を突破したと発表しました。同接数も過去最高の42万8666人を記録しています。早期アクセスの初速がそのまま定着につながった事例で、リリース後1週間の同接維持率は、発売前のウィッシュリスト数と同じくらい見られる指標になりつつあります。
4位のValheimは約22万人を保っています。早期アクセス開始から5年を経ての正式リリース後も流入が続いており、上位5本のうち2本が早期アクセス起点のタイトルという構図は前日と同じです。本日の「開発者の目」で取り上げたように、新作の1.3%しか100万ドルに届かない市場において、長く遊ばれ続ける1本を持つことの価値は数字の上でもはっきりしています。
出典: Steam公式API
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