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開発者の目2026-09-16

ウェブストアが売上の7割を占めるまで──D2Cは決済手段ではなく、もう一つのライブ運営

モバイルゲームのD2C(自社ウェブストア経由の直販)をめぐる議論は、多くの場合ストア手数料の話に終始します。プラットフォームに支払う30%が浮き、その一部をユーザーに還元し、残りが利益になる、という整理です。この枠組み自体は間違っていませんが、それが同時に上限を決めてしまう、という指摘があります。ストアの訴えが「同じものが少しだけ安い、ただし一手間かかる」でしかないなら、そのストアは「数パーセントのために一手間かける層」の大きさまでしか育ちません。多くのタイトルでその層は課金者の2割から4割で、実際に大半のウェブストアはその水準に留まっています。

この構図を破った事例として紹介されているのが、ポーランドのスタジオGamestureです。ソーシャルカジノPvP領域の3タイトルで、ストア経由の売上比率が32%から70%まで上昇しました。同社を助言したMichal Korek氏によれば、その上昇は性質の異なる二つの段階に分かれています。

第一段階は、ストアを「来る価値のある場所」にする作り直しです。分析の結果は厳しいもので、訪問者の71%はメインページを見たことがなく、見た人の99%は購入可能な商品ではなくゲーム一覧へ進んでいました。そこで6点をまとめて刷新します。ゲームごとの入口を軸にしたメインページへの再構築、可視化されたリーグと進捗を持つロイヤルティプログラム、10%の値引きを撤廃して同じ幅の「価値ボーナス」へ置き換える経済設計の変更(手数料の浮きが社内に残る)、200ドルごとだった特典を10ドルから50ドルごとへ細分化して計算不要にする報酬設計、ゲーム内外の告知経路の拡張、そして自動ログイン。これで2025年12月におよそ50%に到達しました。多くのスタジオはここで止まります。

第二段階は、ストアをライブ運営の対象として回すことです。価格帯の全段をストアが常時保持し、ゲーム内には一部を回転させる。最上位の250ドルと500ドルの枠はストアにしか置かない。購入上限を1〜2個から5〜10個へ引き上げる(プロジェクト全体で最も利益に効いた変更であり、しかも価格の話ではありませんでした)。ポップアップでは「ストアがあります」ではなく具体的な限定オファーと価格を提示し、クリエイティブをUAチャネルのように回転させる。ボタン配置は4案を検証し、ストア+メインメニューが勝ちました。さらにオファー全体をイベント単位、週単位で組み替えます。これにより2026年4月に約70%へ到達しました。

決め手はユーザーの説得ではなく、経済の配置でした。Gamestureのタイトルは競争性が高く、ギルドは順位を気にし、上位ギルドはイベントごとに最適解を計算します。最良の価値、最高の上限、限定枠がすべてストアに置かれた時点で、最適解の経路がストアを通るようになりました。プレイヤーはストアを選んだのではなく、勝つことを選び、その道筋にストアがあった、というわけです。逆に言えば、この手法が効くのは支出が目に見えて結果を変えるゲームに限られます。一人用で穏やかな体験、支出額も小さいタイトルでは、同じ構造は成立しません。それでも個人開発者が持ち帰れる原則ははっきりしています。D2Cは決済手段ではなく、もう一つのライブ運営です。安いから来るのではなく、そこにしかないから来る。設計するのは割引率ではなく、オファーの形です。

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