9月19日(土)の朝刊まとめ
- 1スクウェア・エニックス、非公開化の報道を否定──月刊誌報道で株価は一時8.3%高、物言う株主は約18.5%を保有
- 2ドント・ノッド、2027年1月末より先の事業継続に「重要な不確実性」──手元資金は800万ユーロ、フランスで最大90人削減を検討
- 3中国のゲーム市場が初の500億ドル超──2025年は5.4%増の518億ドル、ミニゲームがモバイル課金の約2割に
- 4『Valor Mortis』が定価39.99ドルに──秋の新作ラッシュを前に「フルプライスをやめる」判断
- 5きょうのSteam同時接続トップ5(2026年9月19日)
国内スクウェア・エニックス、非公開化の報道を否定──月刊誌報道で株価は一時8.3%高、物言う株主は約18.5%を保有
スクウェア・エニックス・ホールディングスが、同社の非公開化を検討しているとの報道を否定する声明を公表しました。きっかけは、月刊誌『選択』9月号に掲載された記事です。同誌は、スクウェア・エニックスが海外の投資ファンドからの関心を集めていると報じていました。
声明は簡潔なものでした。同社は「月刊誌『選択』9月号に、当社の非公開化の可能性に関する報道が掲載された」としたうえで、「当該情報は当社が発表したものではない」と説明。さらに「現在、当社において非公開化の検討は行っていない」と明確に否定しています。
それでも市場は反応しました。報道を受け、東京証券取引所ではスクウェア・エニックス株が取引時間中に一時8.3%高まで買われています(Investing.com調べ)。憶測に火がついた背景として挙げられているのが、同社株の約18.5%を保有する物言う株主、3Dインベストメント・パートナーズの存在です。同ファンドはこれまでも、取締役会に対して経営戦略の見直しを求めてきた経緯があります。
スクウェア・エニックスはこの4年間、事業の組み替えを続けてきました。2022年には欧米スタジオのCrystal Dynamics、Eidos Montreal、Square Enix MontrealをEmbracer Groupへ売却。2025年には米国と英国で100人を超える人員を削減し、開発機能を日本へ集約する方針を打ち出しています。今月発表した第1四半期決算では、利益が前年同期比175.5%増の132億円と大きく伸びました。同社はこの結果を、HDゲーム、MMO、スマートデバイス/PCブラウザの各分野が好調だったデジタルエンタテインメント部門の貢献によるものと説明しています。
非公開化を実現するには、発行済みの全株式をプレミアムを乗せて買い取る必要があります。同じ道筋をたどった直近の例が、サウジアラビアの公共投資基金(PIF)によるエレクトロニック・アーツの買収で、この取引はEAに巨額の負債を残しました。今回の件はあくまで報道と、それを否定する会社の声明という段階にとどまります。
個人開発者にとっての意味は、大手パブリッシャーの資本構成が動くと、その先にある外注や共同開発、パブリッシング契約の継続性まで揺れる、という一点にあります。スクウェア・エニックスは現時点で検討の事実を否定しており、直ちに何かが変わるわけではありません。ただし約18.5%を握る株主が戦略の見直しを求め続けている構図は変わっておらず、今後の取締役会の判断は引き続き注視する価値があります。
海外ドント・ノッド、2027年1月末より先の事業継続に「重要な不確実性」──手元資金は800万ユーロ、フランスで最大90人削減を検討
フランスのパブリッシャー兼デベロッパーであるドント・ノッドが、追加の外部資金を確保できなければ、2027年1月31日より先の事業継続に「重要な不確実性」があると警告しました。2026年上期の決算発表にあわせ、9月1日に公表していた再編計画の詳細とともに開示されたものです。
資金の減り方は明確です。総キャッシュは2025年末の1540万ユーロから、2026年6月末には980万ユーロへ、さらに7月末には800万ユーロまで減少しました。半年強で約半分になった計算になります。
収益面も厳しい数字が並びました。制作費の資産計上を含む営業収益の合計は、前年同期の1390万ユーロから610万ユーロへと56%減少。販売と開発受託を合わせた売上高も14%減となり、内訳は販売が350万ユーロ、開発受託が260万ユーロでした。開発受託分が伸びたのは、モントリオール拠点で進めているNetflixの主要作品を原作としたナラティブゲームによるものです。営業EBITDAの赤字は、前年同期の200万ユーロから430万ユーロへ拡大しました。
パイプラインにも影響が出ています。同社は、SFアドベンチャー『Aphelion』と、社内で「P14」と呼ばれる未発表プロジェクトについて、関心の表明はあったものの、必要とされる資金確保の基準を満たせなかったと説明しています。
再編の中身は、フランス国内の事業を単一の制作ラインへ集約するというものです。同社は「現行の制作が完了する前に新規プロジェクトを立ち上げるために必要な専門性を一か所に集める」と述べています。検討中の変革計画では、フランスで最大90のポジションが削減される可能性があります。取締役会は9月4日にこの計画を承認し、従業員代表との協議と組合交渉が始まりました。オスカー・ギルベールCEOは、今回の結果が「私たちの業界が直面している大きな課題を裏づけるもの」だとしたうえで、「検討されている措置は厳しいものです。影響を受ける従業員にとって何を意味するかを十分に理解しており、必要な支援策を用意しています」とコメントしています。
同社の資金繰りに警告が出るのは今年に入って初めてではありません。GamesIndustry.bizは6月、監査法人が、追加の資金調達がなければ2026年11月に資金が尽きる可能性があると警告していたと報じています。この時点で、筆頭株主であるテンセントは短期の増資要請に応じていませんでした。同社は2025年にも、RPG・ナラティブアドベンチャー・アクションアドベンチャーの3ジャンルへ絞る再編にともなう人員削減を実施しています。
個人開発者にとって参考になるのは、上場しているスタジオでも、複数の新規プロジェクトの資金が同時に止まると一気に綱渡りになるという現実です。ドント・ノッドの場合、開発受託が売上を下支えする一方で、自社IPの新作は資金の基準を満たせずに止まりました。受託で食いつなぎながら自社作品を仕込む構造は小規模スタジオでもよく採る形ですが、その受託が特定の取引先に依存していると、次の判断の余地が狭くなります。
海外中国のゲーム市場が初の500億ドル超──2025年は5.4%増の518億ドル、ミニゲームがモバイル課金の約2割に
中国のゲーム市場が2025年に初めて500億ドルを突破しました。調査会社Niko Partnersの新しいレポートによると、市場規模は前年比5.4%増の518億ドルに達しています。
同社は今後の見通しとして、2026年は4%増の539億ドル、2030年には598億ドルに達すると予測しました。5年間の年平均成長率は2.9%です。プレイヤー数は2030年までに7億6900万人に達し、週あたりの平均プレイ時間も昨年の14.1時間から15.8時間へ伸びると見ています。
Niko Partnersは、収益とプレイヤー数の増加要因を「新規タイトルと、長く遊ばれている定番タイトルの双方が想定以上の成績を収めたこと」だと説明しています。
成長の柱として名指しされたのがミニゲームです。中国のプレイヤーの80%がこのジャンルに触れており、モバイルゲームの課金額のうち約20%を占めるまでになりました。発見の経路も変化しています。プレイヤーのほぼ半数が、新作やその情報をショートビデオアプリ経由で知っていると答えました。
レポートは、中国のプレイヤーの66%が、国内のインターネット規制を回避する何らかの手段を使っているとも指摘しています。内訳は、グローバルサーバーでのプレイが30.8%、ゲーム用アクセラレーターの利用が33.6%、VPNの利用が21.9%でした。
政策面の変化も進んでいます。中国は今年、ビデオゲームを国民経済・社会発展の第15次5か年計画(2026〜2030年)に組み入れました。これまでゲームはデジタル文化製品として分類されていた経緯があります。Niko Partnersは今後5年の重要トレンドとして、ニッチジャンルの成長、アプリ外での収益化の増加、規制環境の改善、プレミアムなPC・コンソールタイトルへの消費支出の増加、そして生成AIの統合の5点を挙げました。中国のゲーム企業が開発パイプラインとプレイヤー向け機能の双方で生成AIを急速に取り込んでいること、ユーザー生成コンテンツのプラットフォームが広く伸びていることにも触れています。
海外の小規模開発者にとって、この市場は「版号を取って正面から入る」以外の接点が広がりつつある場所です。プレイヤーの3割がグローバルサーバーで遊び、半数近くがショートビデオで新作を知るという数字は、中国国内での配信許可を持たないタイトルにも一定の流入経路があることを示しています。同時に、課金の2割をミニゲームが占めるという構造は、そこで戦うなら前提となる作りが根本的に違うことも意味します。
開発者の目『Valor Mortis』が定価39.99ドルに──秋の新作ラッシュを前に「フルプライスをやめる」判断
デベロッパーのOne More Levelが開発するソウルライクアクションRPG『Valor Mortis』について、通常版の定価を39.99ドル(約6200円)とすることが発表されました。DLCやコスチュームパックを同梱するデラックスエディションは59.99ドル(約9400円)の予定です。当初想定されていたフルプライスでの販売をやめ、発売直前に価格を引き下げる判断となります。
経緯を説明したのは、本作のパブリッシングを担当するLyrical Gamesのトップ、Blake Rochkind氏です。同氏はThe Game Businessの取材に対し、今秋のリリース状況を「クレイジー」と表現しました。『GTA6』や『ゼルダの伝説 時のオカリナ』のリメイク、『SILENT HILL: Townfall』『CONTROL Resonant』といった大型タイトルが並ぶなかで、新規IPである本作を、全力を尽くさないまま「手軽に手に取れるゲーム」として宣伝したくはなかったといいます。
判断を後押ししたのは、他の開発者から聞いた話でした。30ドルから40ドル程度の価格帯でリリースして成功を収めた開発者が、「他のゲームと一緒に買えるゲーム」にしたことを後悔したことはないと語っていたとのことです。
近年、いわゆるフルプライスのタイトルは米ドルで60ドル台が中心でした。2020年にTake-Two Interactiveが『NBA 2K21』を70ドルで販売して以降は、70ドル級の作品も珍しくなくなっています。そのなかで40ドルという価格は、競合と並べて比較される1本ではなく、競合と一緒に買われる1本を狙う位置取りだといえます。
一方でリスクもあります。発売直前の値下げ発表は、ゲームの内容やボリュームが削られたのではないかという懸念をユーザーのあいだに生みかねません。Rochkind氏自身、「ゲームについて誤ったメッセージを送りはしないか」と大いに悩んだと明かしています。そのうえで同氏は、この決定は「自信の表れ」だと説明しました。
個人開発者にとって、この事例が示すのは、価格が金額であると同時にシグナルでもあるという点です。競合が密集する時期に「唯一の1本」を狙うのか、「ついで買いの1本」を狙うのかで、同じ数字の意味は変わります。なお、Steamは単純な為替レートではない独自の換算レートを用いており、日本での価格は5000円強になる見込みです。本作はPC(Steam/Microsoft Store)、PS5、Xbox Series X|S向けに10月発売予定で、この判断が数字に表れるかは発売後の動向を待つことになります。
出典: AUTOMATON
きょうのSteamきょうのSteam同時接続トップ5(2026年9月19日)
Steamの同時接続プレイヤー数トップ5は以下のとおりです。1位はCounter-Strike 2で約108万4000人、2位はDota 2で約77万4000人、3位はWARDOGSで約33万9000人、4位はPUBG: BATTLEGROUNDSで約23万2000人、5位はValheimで約22万5000人でした。上位5本の合計はおよそ266万人です。
顔ぶれは前日と同じ5本ですが、順位が1つ入れ替わりました。前日4位だったValheimが5位に下がり、前日5位のPUBG: BATTLEGROUNDSが4位に上がっています。数字はいずれも上向きで、1位のCounter-Strike 2は前日の約98万8000人から約108万4000人へ、2位のDota 2は約72万6000人から約77万4000人へ伸ばしました。3位のWARDOGSも約31万8000人から約33万9000人へ増えています。上位5本の合計は前日の約245万人から約266万人となり、1日で20万人以上の上積みです。本日時点のピークは、Counter-Strike 2が約133万人、PUBG: BATTLEGROUNDSが約78万人でした。
この並びは、本日の「開発者の目」で扱った価格の話と重なります。上位5本のうち4本は基本プレイ無料か、リリースから数年以上を経た定番タイトルです。有料の新作がこの層に割って入る機会は多くありません。だからこそ、競合が密集する時期にいくらで出すかという判断は、単なる収益の設計ではなく、そもそも買い物リストに載るかどうかの設計になります。『Valor Mortis』が選んだ39.99ドルという数字は、上位の定番と時間を奪い合うのではなく、別の1本と一緒にカートへ入る道を選んだということです。
出典: Steam公式API
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